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生成AIを活用した「金融データ活用組織チェックシート セルフチェックシステム」のリリースについて

2024年4月15日

 一般社団法人金融データ活用推進協会(東京都中央区、代表理事:岡田拓郎、以下「当協会」)は2024年4月15日、金融データ活用の状況をWebページ上からセルフチェックできる、「金融データ組織活用チェックシートセルフチェックシステム(以下、Webシステム)」をリリースしました。

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【Webシステムの概要】

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 このWebシステムは、昨年6月に当協会よりリリースされた「金融データ組織活用チェックシート」を、Web上で回答できるようにしたものです。セルフチェックを通じて金融機関のデータ活用レベルの向上を促進し、業界の発展に寄与することを目的としています。

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 これまでExcelファイルで配布していたチェックシートをWebシステム化することで、ユーザーはより簡単にチェックシートを利用する事ができます。ユーザーの利便性向上の他、回答結果をシステムでリアルタイム集計することで、常に平均スコア(協会ベンチマーク)が更新され、最新のデータと自社スコアを比較できるメリットもあります。

 また、過去の自社の回答結果を参照する機能、スコアの推移を時系列で比較する機能なども実装しており、自社のデータ活用状況を詳細に把握することを支援いたします。

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―金融データ活用組織チェックシートおよびWebシステムの詳細はこちら

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セルフチェック 回答入力画面

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セルフチェック結果とFDUAベンチマークの比較

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【生成AIの活用】
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 セルフチェックの回答結果に対し、生成AIを用いて評価・コメントを提供する機能を、4月末にWebシステム内に実装する予定です。回答結果に合わせた具体的な示唆を提供することで、自社のデータ活用レベルを、より俯瞰して捉える事が可能になると期待しています。
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図:生成AIを用いた評価・コメント(開発中イメージ)

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【チェックシートの集計から得られた示唆 ~金融機関におけるデータ活用~】
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 2024年3月末時点でのセルフチェック結果を集計し、金融機関におけるデータ活用に関して、以下の示唆が得られました。(金融機関37社の集計)
 6テーマ全体、および「利用データ」「組織」「ビジネス効果」「データ基盤」「人材育成」「ガバナンス」の各テーマ毎に分けて記します。
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1.全体
 データ利用の重要性に対する意識は高まっていますが、それをビジネスに活用する過程や、データガバナンスにおける課題がある組織が多い印象です。データ基盤の活用能力は高いものの、それを後押しするような人材育成や組織構築が進んでいないことが、課題となっています。
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2.利用データ
 金融機関は自社の業務データの蓄積と管理に対しては概ね高いスコアですが、外部データ利用の低さ、データの品質管理、情報の一元化といった点に課題があります。
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3.組織
 データ活用についての理解はある程度進んでいるものの、それを組織全体で具体的な行動に移すための体制づくりやロールの明確化、資源の確保などが十分に行われていないと推察されます。実行計画の具体化や細かい役割分担、定期的な評価・改善を通じて、継続的なデータ活用策を推進すべきと言えます。
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4.ビジネス効果
 ビジネス目標に対する進捗を追うための組織体制づくりや、情報共有の仕組みは整っているものの、具体的な施策の策定、優先順位付けなどのスコアが低く、改善の余地があるといえます。
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5.データ基盤
 データ入出力など、利用者が要求する動作に対する機能の充実度や、セキュリティ面では高いスコアとなっています。ただ、データ基盤の拡張性・スケーリングの課題が見受けられます。
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6.人材育成
 データ活用のための人材育成の取り組みは、全般的に見て低いスコアとなっています。具体的なスキルや人材像の定義の明確化、育成プログラムの充実、評価・フィードバックの体系化が課題とされています。
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7.ガバナンス
 セキュリティとプライバシーに関する規定は高いスコアですが、データ活用の推進やガバナンス体制の構築、分析・モデリングプロセスやAI倫理についての議論などが求められています。
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 今後、セルフチェックに回答する企業が増えるにつれ、金融機関全体あるいは業種別の傾向を把握し、より的確な示唆を得ることができると期待しています。